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通勤手当に課税されているのはなぜ?!所得税と通勤手当の関係

2025年04月30日

人事労務運用・管理

通勤手当と課税の関係

給与明細を確認したとき「なぜ通勤手当に課税されているのだろう?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。 実は、通勤手当が非課税となる場合と課税される場合があります。
通勤手当は一定の額までは非課税枠のある手当ですが、決められた額を超える場合には所得税の課税対象となるのです。

通期手当の非課税限度額は大きく次のように分けることができます。

  • 公共交通機関   : 1か月あたり15万円
  • 交通用具     : 距離毎に決められている
  • 合理的でない場合 : 全額課税

ここでは、通勤手当に課税される理由と、どのような場合に非課税となるのか、あるいは課税されるのかを解説します。

通勤手当はなぜ課税の対象?

通勤手当は一般的に給与の一部として扱われますので、所得税の課税対象となる手当のうちの一つになります。
ただし、通勤手当は実質弁償の意味合いが強いことから、国税庁のガイドラインに基づいて非課税となる特例が設けられています。
その場合には、以下の条件を満たす通勤経路であることが求められます。

  • 通勤手段が合理的かつ経済的であること
  • ・支給金額が国の定める非課税限度額の範囲内

非課税限度額を超えた部分や、合理性が確認できない通勤経路、徒歩のみの場合などは課税対象になります。

通勤手当と税金に与える影響

支給された通勤手当は給与所得の一部として扱われます。
前段の通り国税庁が定める非課税限度額以内であれば課税されません。 非課税限度額を超えた額に対しては課税対象として計算され、会社が源泉徴収を行います。

このことから、非課税限度額を超える額の通勤手当を受け取っている場合は、通勤手当に対しても所得税と住民税が発生することになります。

なぜ通勤手当は課税対象?

所得税法では、労働の対価として受ける給与や賞与だけではなく、諸手当も原則として所得に含まれると定義されていて、通勤手当も会社から従業員へ支払われる経済的利益の一種のため、基本的には課税の対象になります。

ですが、通勤手当は業務を遂行するために必要な実費の補填という意味合いが強いことから、一定の範囲内で非課税とする特例が認められています。
この特例は、実費相当分にまで課税してしまうと労働者の負担が大きくなりすぎるという配慮から設けられたものです。

このことから、国税庁が定める「経済的かつ合理的な経路」から外れた高額な支給、上限額を超える金額には、実費補填の範囲を逸脱した給与所得とみなされ、課税の対象となるのです。

通勤手当の非課税限度額

通勤手当への税金額を理解するためには、国税庁が定める非課税限度額を理解しておく 必要があります。
非課税限度額は、通勤にかかる実際の費用や通勤手段・通勤距離など、いくつかの要件に基づいて 設定されており、公共交通機関、自動車などの交通用具、またはこれらの併用による通勤など、通勤方法や通勤距離ごとに非課税限度額が異なります。

非課税限度額の違いを以下にまとめました。

通勤手段非課税限度額
公共交通機関1か月あたり15万円
交通用具距離区分による非課税限度額
合理的でないと判断される通勤手段全額課税

限度額の詳細については国税庁のホームページで最新情報を確認するとよいでしょう。

公共交通機関での通勤の場合

公共交通機関で通勤する場合、非課税限度額は月15万円までと定められています。

ただし、非課税と判断されるのは

 最も経済的かつ合理的な通勤経路・方法

であることが原則です。
公共交通機関で非課税となる通勤経路であるかは、実際の通勤距離や定期乗車券の運賃が合理的と判断できる経路を選ぶことが大切です。

例えば、同程度の通勤時間でより安価な経路が存在するにもかかわらず、より高額な定期券を選択した場合、その差額分は非課税限度額内であっても課税対象となることもあります。

交通用具での通勤の場合

マイカーや自転車による交通用具での通勤手当の非課税限度額は、片道の通勤距離によって細かく定められています。
片道2km未満の場合は全額が課税対象、片道2km以上の場合、距離区分によって非課税限度額が定められています。

通勤距離(片道)令和7年11月以前令和7年11月令和8年4月(現行)
2km未満全額課税
2km~10km未満4,200円4,200円4,200円
10km~15km未満7,100円7,300円7,300円
15km~25km未満12,900円13,500円13,500円
25km~35km未満18,700円19,700円19,700円
35km~45km未満24,400円25,900円25,900円
45km~55km未満28,000円32,300円32,300円
55km~65km未満31,600円38,700円38,700円
65km~75km未満45,700円
75km~85km未満52,700円
85km~95km未満59,600円
95km~66,400円

通勤距離が長くなるほど非課税で認められる手当の金額も増えるため従業員に不利益のないよう、自宅から勤務先までの正確な距離計測が必要になるでしょう。

車通勤の通勤手当の考え方については
マイカー通勤者の通勤交通費はどう考えればいい?ガソリン代計算方法のあれこれ
で詳しく説明していますので、是非ご参照ください。

自転車通勤の場合の通勤手当の考え方については
自転車通勤でも通勤手当は必要?支給額や規則、よくある疑問を解説
で詳しく説明していますので、併せてご参照ください。

駐車場代を支給している場合

マイカー通勤者へ駐車場代を支給する場合、今までは通勤手当として全額が所得税の課税対象となっていました。
これは、駐車場代が通勤に必要な「運賃」や「ガソリン代相当額」とは異なり、個人の便益に対する給与の一部とみなされていたためですが、令和8年4月1日以降から支払われる駐車場代へは、実際に負担した駐車場代等の金額に対して非課税限度額になりました。

駐車場代等の非課税限度額は以下の通りです。

  • ・上限5千円まで
  • ・5千円に満たない駐車場代の場合は実費相当額

ただし、交通用具を利用して通勤していることが条件になります。
また、交通用具の距離区分が2km未満の場合は、全額課税となります。

交通用具と駐車場代に対する課税額は以下の計算式で決定します。

 非課税限度額=交通用具の距離区分の非課税限度額+駐車場等代(実費相当額、上限5千円)

ここでは、車通勤を例に説明しましたが、自転車通勤時の駐輪場についても同様の非課税限度額が適用されます。

また、駐車場代を給与所得とするのか旅費交通費とするのかは、利用状況によって判断する必要があります。
駐車場代は通勤手当に含まれる?|課税非課税のルールも
で詳しく説明していますので、あわせてご参照ください。

公共交通機関と交通用具の併用で通勤する場合

公共交通機関と、自動車や自転車などの交通用具を併用して通勤するようなケースの通勤手当の非課税限度額は、利用している公共交通機関の1ヶ月分の定期券運賃と、交通用具の通勤区間の片道距離に該当する非課税限度額の合計で計算されます。
駐車場代等を通勤手当として支給している場合は、非課税限度額として上限5千円まで加算します。

この場合の非課税限度額は1ヶ月あたり15万円を上限としています。

併用時の非課税限度額:最大15万円(月あたり)
 公共交通機関の1か月の定期券運賃+交通用具の距離区分別非課税限度額+駐車場代等非課税限度額

通勤手当が課税となるケースは?

通勤手当が所得税の課税対象と判断されるケースについて、いくつか見ていきましょう。

通勤手当の1か月あたりの支給額が非課税限度額を越えている

非課税限度額の上限を超える額が支給された場合は、超過分が所得税の課税対象となります。

たとえば、公共交通機関で通勤している場合、会社から月16万円の通勤手当を支給されていれば 15万円までが非課税となり、超えた1万円については所得税が課されます。

また、自動車や自転車など交通用具による通勤の場合も、距離に応じた非課税限度額を上回る部分は同様に課税対象となります。

徒歩通勤

企業によっては、徒歩で通勤する従業員に対しても通勤手当を支給する場合があります。
通勤手当の支給に関する規定は企業ごとに自由に定められますが、徒歩通勤の場合の手当は所得税の非課税要件を満たさず、全額が課税対象となります。

これは、所得税法において非課税通勤手当が交通機関の利用または交通用具の使用のために支出する費用に充てるものと定められているためです。

徒歩通勤では、これらの費用が発生しないため、支給された手当は給与の一部とみなされ、所得税の課税対象となり得ます。

その他の全額課税になる通勤手当のケース

通勤手当が全額課税となるケースとして考えられるのは、 非合理的な通勤経路の利用、経済的とは認められない通勤手段の場合が該当します。

具体的にはグリーン車を利用するようなケースです。 グリーン車利用など普通運賃を超えた費用分が支給される場合は、普通運賃との差額が課税対象です。

通勤手当の所得税への影響

通勤手当は、非課税の範囲内で支給される場合は、所得税の対象にならず、影響はありません。
非課税上限を超えた金額は毎月の給与と合算され、所得税の計算に反映されますので、住民税の計算基礎に含まれることになります。

通勤手当の社会保険への影響

社会保険料の基礎となる標準報酬月額には、通勤手当が全額含まれます。
通勤手当の額が増えた場合、たとえ所得税や住民税の非課税限度額内で支給されている場合でも、社会保険料は増加する可能性があります。
毎月の給与から天引きされる、以下のような社会保険に関係しています。

  • 健康保険
  • ・介護保険
  • ・厚生年金保険
  • ・雇用保険

社会保険料の算出基準は所得税や住民税とは異なり、非課税かどうかを問わず通勤手当全額が対象となるためです。

社会保険料と通勤手当の関係については
社会保険料と通勤手当、どう関係している?|その計算方法について
で解説していますので、併せてご参照ください。

まとめ|通勤手当の課税のルール

通勤手当は、国が定めた非課税限度額の範囲内であれば、所得税や住民税のいずれも課税されずに受け取ることができます。
非課税限度額を超えて支給された通勤手当については、その超過分が課税対象になります。

通勤手当の非課税適用には、通勤手段・通勤距離・支給額が合理的かつ経済的であるかも判断基準になります。
また、社会保険料の計算では通勤手当を全額含めるなど、所得税や住民税と社会保険料の取り扱いは異なる点にも注意が必要です。

国内の経済状況に応じて、非課税限度額の見直しも都度行われ、それにタイムリーに対応していくことも求められます。
これら通勤手当の課税ルールをしっかり理解し、適切に管理していくとよいでしょう。

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改定日:2026年5月21日

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