介護休業給付金と通勤手当|支給額への影響を解説
介護休業給付金の支給額を計算するための算定基礎となる「賃金月額」には、毎月支払われる通勤手当も関係しているのをご存じですか。
本記事では、介護休業給付金の仕組みや通勤手当を含む具体的な計算方法、休業中に賃金が支払われた場合の注意点、そして申請手続きについて解説します。
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介護休業給付金とは?まずは制度の基本を理解しよう
「介護休業給付金」は、雇用保険の被保険者が
”要介護状態にある家族を介護するために介護休業を取得”
した場合に、ハローワークから支給される給付金です。
この制度は介護による離職を防ぎ、労働者が安心して仕事を続けられるように経済的に支援することを目的としています。
介護休業給付金の支給額は通勤手当を含めて計算される
介護休業給付金の支給額は、休業を開始する前の賃金を基に算出されます。
この計算の基礎となるのが「休業開始時賃金月額」であり、これには基本給のほか、通勤手当や残業代といった毎月決まって支払われる各種手当が含まれます。
したがって、日頃受け取っている通勤手当も給付金の金額に影響を与える重要な要素です。
休業前の収入を正確に反映させることで、休業中の生活を支えるという制度の趣旨に沿った仕組みになっています。
計算の基礎となる「休業開始時賃金月額」に通勤手当は含まれる
介護休業給付金の支給額を算定する際の基礎となる「休業開始時賃金月額」は、原則として
介護休業を開始する直前の6か月間に支払われた賃金の総額から算出されます。
この賃金総額には、基本給をはじめ、通勤手当、役職手当、時間外手当などが含まれます。
一方で、賞与のように3か月を超える期間ごとに支払われる一時的な賃金は算入されません。
定期的に支給されている通勤手当はこの賃金総額に加算されるため、給付金の算定において重要な要素となります。
これにより、休業前の実質的な収入に近い形で給付額が決定されます。
介護休業給付金の具体的な計算式
介護休業給付金の1支給単位期間あたりの支給額は
「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」
の計算式で求められます。
「休業開始時賃金日額」とは、原則として休業開始前6か月間の賃金総額を180で割った額です。
「休業開始時賃金日額 = 休業開始時賃金月額×6÷180」と同様になりますので、休業開始時賃金日額にも通勤手当も含まれていることになります。
算出された賃金日額には上限額と下限額が定められています。
そして、支給日数は通常30日で計算されますが、休業期間の最終月など月の途中で終了する場合はその日数分になります。
この計算によって、休業前の賃金のおおよそ3分の2が保障されることになり、介護に専念するための経済的な基盤を支えます。
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介護休業中に通勤手当が支払われた場合の注意点
介護休業の期間中に会社から賃金が支払われると、介護休業給付金の額が減額されたり、場合によっては支給されなくなったりします。
1つの支給単位期間(通常は1か月)ごとに、会社から支払われる賃金と給付金の合計額が、休業前の賃金を基にした一定額を超えないように調整されるためです。
就業規則によっては休業中も一部手当が支払われるケースがあるため、事前に規定を確認しておく必要があります。
休業中に会社から賃金が支払われると給付金が減額される
介護休業中に勤務先から賃金が支払われた場合、その金額に応じて給付金が減額されることがあります。
支給単位期間で支払われた賃金額が、休業開始時賃金月額の13%を超えると、減額調整が始まります。 「休業開始時賃金月額の80%」から支払われた賃金額を引いた額で給付金支給額を算出します。
支払われた賃金と給付金の合計額が休業開始時賃金月額の80%を超えた場合は、その支給単位期間の給付金は全額不支給となります。
また、賃金の支払いの有無にかかわらず、休業中に11日以上就労した場合も給付金は支給されません。
介護休業給付金を受け取るための3つの条件
介護休業給付金を受給するためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。
単に介護休業を取得するだけでは支給されず、以下が問われることになります。
・雇用保険への加入状況
・過去の就労実績
・休業後の就労意思
これらの条件は、制度が本来の目的通り介護離職を防ぎ、労働者の雇用継続を支援するために設けられています。
雇用保険の被保険者
介護休業給付金を受給するための基本的な条件として、
介護休業を開始した日において雇用保険の一般被保険者であること
が挙げられます。
これには、正社員だけでなく、パートタイマーや契約社員といった非正規雇用の労働者も対象になります。
ただし、週の所定労働時間が20時間以上あり、31日以上の雇用見込みがあるなど、雇用保険の加入要件を満たしている必要があります。
自身が被保険者であるかは、給与明細の雇用保険料の項目や、ハローワークで発行される「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」で確認することが可能です。 この条件を満たしていない場合、給付の対象外となります。
休業開始前の2年間に被保険者期間が12ヶ月以上
また、介護休業を開始した日より前の2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることも、介護休業給付金を受給する条件になります。
被保険者期間の1ヶ月とは、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月のことを指します。
月給制の場合は暦日数が基礎日数となるため通常は条件を満たしますが、時給制や日給制の場合は出勤日数が変動することがあるので、基礎日数を確認する必要がでてきます。
もし休業開始前の2年間に転職している場合でも、雇用保険の加入期間は通算されるため、前職の期間も含めて計算できます。
この条件は、一定期間継続して雇用され、保険料を納付していた実績を証明するものになります。
休業終了後に退職する予定がない
介護休業給付金は、原則として介護休業の終了後は職場に復帰することを前提とした制度です。
これは、労働者の雇用継続を支援することを目的とした制度であるためです。
そのため、介護休業を取得する時点で、休業期間が終わったら退職することが決まっている場合は、支給の対象にはなりません。
申請時に、復職の意思を証明する特別な書類は不要ですが、制度の趣旨として職場復帰が前提になり、 万が一、休業中にやむを得ない事情で退職することになった場合は、それまでに受け取った給付金を返還する必要はありませんが、退職日以降の給付は受けられなくなります。
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介護休業給付金の申請方法と期限
介護休業給付金の申請手続きは、基本は勤務先の会社を通じて行います。
労働者が直接ハローワークで手続きすることも可能ですが、会社が用意する書類や証明が必要になるため、まずは社内の担当部署に相談するのが一般的です。
申請には期限が設けられており、これを過ぎると給付金を受け取れなくなるため注意が必要です。
申請手続きは基本的に会社を通して行う
介護休業給付金は、原則として事業主を経由して管轄のハローワークに申請を行います。
まず労働者は会社に対して介護休業の申し出を行い、会社側が「介護休業給付金支給申請書」や「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」など、必要書類を準備します。
労働者は、これらの書類に必要事項を記入し、介護対象者との関係を証明する住民票記載事項証明書などを添えて会社に提出します。
派遣社員の場合は、派遣元の会社が申請手続きの窓口となります。
また、何らかの事情により会社が手続きが行えないといった場合には、本人が直接ハローワークに申請することも可能です。
申請期限は休業終了日の翌日から2ヶ月以内
介護休業給付金の申請期間は、介護休業が終了した日の翌日から数えて2ヶ月後の月の末日までになります。
例えば、休業が8月20日に終了した場合、申請期限は10月31日になります。
この期限を過ぎてしまうと、原則として給付金を受け取ることができなくなります。
申請するタイミングは、一つの支給単位期間(最大93日間)が終わった後に、まとめて申請することが一般的です。
また、介護休業は複数回に分けて取得することも可能で、その場合の申請はそれぞれの休業期間ごとに申請することも可能です。
まとめ
介護休業給付金の支給額は、休業前の賃金を基に計算され、その中には通勤手当も含まれます。
給付額は、休業開始前の賃金の67%が目安となりますが、休業中に会社から賃金が支払われると減額されるので注意が必要です。
受給するには、雇用保険の被保険者期間などの条件を満たした上で、期限内に申請手続きを完了させなければなりません。
なお、短時間の介護で利用することのできる介護休暇は、給付金の対象外になります。
介護と仕事の両立を図るため、これらの制度を正しく理解し、計画的に活用していきましょう。
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