2025/06/09

通勤経路の書き方|合理的な通勤経路についても解説

通勤経路の書き方と合理的な経路について

通勤経路を会社に提出するにあたって、どのように書けばよいか迷う方もいるのではないでしょうか。
通勤経路は、通勤手当の算出だけでなく、通勤中の事故やケガに関する通勤災害にも関わる重要な情報です。そのため、実際に利用している、または会社が認める経済的かつ合理的な通勤経路と所要時間を正確に届け出る必要があります。
このコラムでは、通勤経路の基本的な書き方と、経済的かつ合理的な経路について詳しく解説していきます。

<目次>
 1. 通勤経路の基本的な書き方
  1-1. インターネットの地図サービスを利用する
  1-2. 文章で分かりやすく記載する
  1-3. 簡単な略図を作成する
 2. 経済的かつ合理的な通勤経路の考え方
  2-1. 経済的であることの定義
  2-2. 合理的であることの定義
  2-3. 経済性と合理性のバランス
 3. 通勤手当支給時の確認事項
  3-1. 申請された経路が経済的かつ合理的か
  3-2. 届け出住所と勤務地の最寄り駅が一致するか
  3-3. 申請内容と実際の通勤経路に相違がないか
  3-4. 申請された交通手段を実際に利用しているか
 4. 通勤経路の申請に関する注意点
  4-1. 複数経路の扱い
  4-2. やむを得ない理由による経路変更
  4-3. 経路からの逸脱や中断
 5. まとめ

通勤経路の基本的な書き方

通勤経路の提出は、入社時や引っ越しなどで通勤経路が変わるタイミングで提出が必要です。
通勤経路は、通勤手当の算出や通勤災害に備えるために正しく届け出ることが大切です。

経路とともに利用する交通手段を書き添えることで、採用担当者に正確な通勤経路を伝えるようにします。

インターネットの地図サービスを利用する

インターネットの地図サービスを利用すると、自宅から会社までの通勤経路を手軽に作成できます。
オンライン地図サービスに出発地(自宅)と目的地(会社)を入力して経路を表示させ、その画像を提出する方法です。

サービスによっては自動的にルートが表示されるため、手書きで経路を書く手間が省けます。
また、車の通勤経路を記載する際には、オンライン地図サービスで検索すると移動距離も確認できるので、ガソリン代を通勤手当として支給する際の、正確な算出に役立ちます。

文章で分かりやすく記載する

地図や略図を使わず、文章で通勤経路を説明する方法もあります。
利用する交通機関の名称や所要時間を明確に伝えやすいため、電車やバスを利用して通勤する方に
おすすめです。

文章で記載する際は、簡潔に短文で伝えることがポイントです。

電車通勤の場合は、自宅から最寄り駅までの移動手段と所要時間、乗車駅、路線名、
路線ごとの所要時間と運賃、そして降車駅から会社までの徒歩の所要時間を記載します。
駅名や路線名は省略せずに正式名称で記載しましょう。

バス通勤の場合も同様に、自宅から最寄りバス停までの情報、利用するバス会社の路線名、
乗降バス停、所要時間などを具体的に記載します。乗り換えがある場合は、どの地点で乗り換えるのか、乗り換えにかかる時間なども含めて分かりやすく記入することが大切です。

簡単な略図を作成する

会社によっては、通勤経路を簡単な略図で示すよう求められる場合があります。
手書きで略図を作成する際は、いくつかポイントを押さえることで分かりやすい図になります。

まず、地図の上方向を北として描くと全体の方角が把握しやすくなります。
次に、自宅と会社の位置を明確に示しましょう。太線を使ったり、色を変えたり、建物を塗りつぶすなどして目立たせる工夫をすると良いでしょう。
さらに、通勤経路の途中にある病院や店舗、学校などの目印になる建物を記載すると、より具体的に
経路が伝わります。
特に曲がり角にある目印があると伝わりやすくなります。

通勤経路自体は、他の情報よりも目立つように線で示したり、色を付けたりすると経路が分かりやすくなります。

全体的にできるだけ簡略化して、必要な情報が見やすいように作成することを心がけましょう。
インターネットの地図サービスで表示した地図を添付し、そこに手書きで情報を加える方法も手軽で
おすすめです。

経済的かつ合理的な通勤経路の考え方

多くの企業では、通勤手当の支給に関して「最も経済的かつ合理的と認められる通勤の経路及び方法」という基準を設けています。
これは、単に金額が安いだけでなく、時間や距離なども考慮して総合的に判断される経路を指します。
経済性だけを追求すると極端に時間がかかる経路になる可能性があり、逆に時間だけを優先すると
高額な経路になる場合があるため、両方のバランスが重要になります。

経済的であることの定義

通勤手当における「経済的であること」とは、主に通勤にかかる費用が安価であることを指します。
最も運賃が安い経路を選択することが経済性の観点では重要視されます。定期券の金額だけでなく、
利用日数によっては回数券やICカードの方が安くなる場合もあります。

自宅から勤務先までの通勤にかかる費用を会社が負担するのが通勤手当であるため、
経済的な経路を選択することは、会社の費用負担を抑えるという側面もあります。

合理的であることの定義

通勤手当における「合理的であること」とは、通勤経路が道理や論理にかなっており、無駄がなく
効率的であることを意味します。


具体的には、通勤時間の短さ、乗り換え回数の少なさ、乗り換え時の徒歩時間の短さ、自宅や会社の
最寄り駅からの徒歩時間の短さ、通勤経路の距離の短さなどが判断基準となります。

必ずしも最も早い経路である必要はありませんが、社会通念上、妥当と認められる範囲内の時間や乗り換え回数であることが一般的です。

ただし特別な事情(例:怪我や介護など)がある場合は、その事情も考慮されることがあります。

経済性と合理性のバランス

経済的かつ合理的な通勤経路とは、経済性と合理性の両方を満たすバランスの取れた経路を指します。
最も金額が安く、かつ最も時間が短い経路が理想的ですが、必ずしもそのような経路が存在するとは
限りません。

例えば、運賃は安いが時間がかかる経路や、運賃は高いが時間が短い経路など、複数の選択肢がある場合があります。

このような場合は、運賃、時間、距離などの要素を総合的に考慮し、最もバランスの取れた経路を合理的かつ経済的な経路として判断します。

企業によっては、「最も安い経路から〇〇円(または〇〇%)までの範囲で、最も早い経路を認める」「最も安い経路よりも〇〇分以上短縮できる場合は、金額が高くても認める」といった具体的な基準を就業規則に定めていることもあります。

この判断基準は企業のルールに委ねられる部分が大きく、明確な基準を設けることで、従業員も理解しやすく、通勤費担当者の判断負荷も軽減されます。

通勤手当支給時の確認事項

企業が従業員に通勤手当を支給する際には、いくつかの重要な確認事項があります。
経理担当者や総務担当者は、申請された内容が会社の規定に則っているか、実際の状況と相違がないかなどを慎重に確認する必要があります。

申請された経路が経済的かつ合理的か

従業員から通勤手当の申請があった際には、まず申請された通勤経路が会社の定める経済的かつ合理的な経路であるかを確認する必要があります。

複数の通勤経路が考えられる場合、申請された経路が運賃、時間、距離などの要素を総合的に考慮して、最も経済的で合理的と認められる経路であるかを判断します。
この判断基準として、企業の就業規則や通勤手当規程に明確に定めておくことが望ましいでしょう。
基準を従業員に周知することで、誤った経路での申請を減らすことにもつながります。

オンラインの経路検索サービスなどを活用して、申請された経路の妥当性を確認することが一般的です。

届け出住所と勤務地の最寄り駅が一致するか

通勤手当は、従業員の自宅から勤務地までの通勤にかかる費用を補助するためのものです。
したがって、通勤経路の出発点となる最寄り駅は、従業員が届け出ている住所から地理的にみて最も合理的と考えられる駅である必要があります。

同様に、到着点となる勤務地の最寄り駅も、勤務地の所在地からみて最も合理的と考えられる駅であるかを確認します。

届け出ている住所と申請された通勤経路の出発駅・到着駅が一致しているか、地理的に不自然な点はないかなど慎重な確認が求められます。

申請内容と実際の通勤経路に相違がないか

従業員が申請した通勤経路が、実際に通勤に利用している経路と一致しているかを確認することも重要です。

例えば、申請ではA駅を経由する経路になっているが、実際にはB駅を経由している、といった相違がないかを確認します。

この確認のためには定期的な実態調査や、不自然な申請がないかのチェックを行うことが必要です。

申請内容と実際の通勤経路に相違がある場合には、通勤手当の過払いが発生するだけでなく、
万が一通勤中に事故が発生した場合に通勤災害として認定されない可能性も出てくるため、正確な
管理が大切になります。

申請された交通手段を実際に利用しているか

通勤手当は、申請された交通手段に基づき支給されます。そのため、申請内容と実際に利用している交通手段が一致しているかを確認する必要があります。

例えば、電車とバスを利用すると申請しているにも関わらず、実際には自転車で通勤している、といったケースです。交通手段が異なれば、当然ながら通勤にかかる費用も変わってきます。
申請された交通手段を実際に利用しているかどうかも、必要に応じて確認することが求められます。

申請内容と異なる交通手段での通勤中に事故が発生した場合、合理的な理由がない限り通勤災害と認められない可能性があります。

通勤経路の申請に関する注意点

通勤経路の申請にあたっては、従業員側、企業側双方にとっていくつかの注意点があります。
特に通勤手当の支給や通勤災害の認定に関わるため、正確な理解と適切な対応が必要です。不明な点があれば、事前に会社の担当部署に確認することが大切です。

複数経路の扱い

自宅から勤務地までの通勤に、複数の経路が考えられる場合があります。
このように、通勤のために通常利用する経路であれば、複数あってもいずれも合理的な通勤経路となり得ます。

企業は通常、就業規則によって、これらの経路の中から最も経済的かつ合理的と認められる経路を定めており、従業員はその定めに従って経路を申請する必要があります。
申請時には、考えられる複数の経路の中から会社の基準に合致する経路を選択し、その経路情報を正確に記載することが求められます。

日によって利用する経路が変わる可能性がある場合も、原則として会社の定めた最も経済的かつ合理的な経路を申請するのが一般的です。複数の経路を申請できるかどうかは、会社の規定によります。

やむを得ない理由による経路変更

通勤経路は原則として届け出た経路を利用する必要がありますが、やむを得ない理由により一時的に経路を変更する場合があります。

例えば、電車の遅延や運休、道路工事による迂回などがこれにあたります。
このように、通勤のためにやむを得ず利用する経路も合理的な経路として扱われます。

ただし、これが通勤災害の対象となるのは、あくまで通勤のために必要な範囲での変更である場合に
限られます。個人的な理由や通勤に関係のない目的での大幅な経路変更は、原則として通勤とはみなされません。

経路からの逸脱や中断

通勤経路からの逸脱とは、通勤の途中で就業や通勤と関係のない目的で合理的な経路からそれることを指します。

一方、中断とは、通勤の経路上で通勤と関係のない行為を行うことをいいます。

原則として、通勤の途中で逸脱または中断があった場合、その間およびその後の移動は通勤とはみなされず、万が一事故が発生しても通勤災害として認められません。

例えば、通勤途中に映画館に立ち寄ったり、飲酒したりする行為がこれにあたります。
ただし、日常生活上必要な行為であって、やむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合は例外として認められています。日用品の購入や通院などが該当します。

これらの例外的な行為の場合でも、逸脱または中断している間の事故は通勤災害の対象外ですが、合理的な経路に戻った後は再び通勤として認められます。

まとめ

通勤経路の適切な書き方や経済的かつ合理的な経路の理解は、通勤手当の適正な支給や通勤災害時の
対応において非常に重要です。

従業員は会社の定めるルールに基づき、正確な通勤経路を申請する必要があります。

企業側は、申請された通勤経路が経済的かつ合理的であるか、届け出住所や実際の通勤状況と相違が
ないかなどを適切に確認することが求められます。

インターネットの地図サービスや文章、略図など、様々な方法で通勤経路を示すことができますが、
いずれの場合も分かりやすく正確な情報を伝えることが大切です。

通勤手当や通勤経路に関する疑問や不明点があれば、自己判断せず会社の経理担当者や総務担当者に確認するようにしましょう。

通勤管理サービスを利用することで、会社の規定にあった通勤経路を正確に判断でき、経路の明確化、通勤手当の最適化を図ることが可能になります。
通勤管理Arvo」では、経路申請時に適否判定を行いますので、一つ一つのチェック処理が軽減され、業務効率化が実現できます。

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