固定的賃金とは?|通勤手当との関係も解説
固定的賃金は、社会保険料の算定基礎となる重要な値です。
ここでは、固定的賃金の定義や非固定的賃金との違い、そして特に通勤手当が固定的賃金とどのように関わるのかについて詳しく解説します。
また、固定的賃金に変動があった場合の社会保険の手続きについても説明します。
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固定的賃金とは
固定的賃金とは、毎月または毎週、給与として定額で支払われる賃金の一部を指します。
社会保険料の計算基礎となり、勤務時間や営業成績によって金額が変わることはありません。
ただし、家族状況の変化や昇給などが発生した場合は、固定的賃金も変動することがあります。
給与として定額で支給されるもの
固定的賃金は、文字通り給与として定額で支給されるものを指します。
これには、基本給や各種手当が含まれます。 毎月一定額が支払われる性質を持つため、勤務時間や個人の業績に左右されることはありません。
例えば、月給や役職手当、家族手当などが該当します。
これらの固定的賃金は、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額を決定する上で重要な要素となります。
固定的賃金が変動する場合
固定的賃金は、通常は定額で支給されますが、いくつかの要因によって変動することがあります。
主な変動要因としては、
・昇給や降給による基本給の変更
・役職の変更に伴う役職手当の変動
・家族構成の変化による家族手当の増減
といった事例などが挙げられます。
また、給与体系自体の変更(例えば日給制から月給制への移行)や、固定的な手当の新設や支給額の変更なども固定的賃金の変動に含まれます。
これらの固定的賃金の変動は、後述する社会保険の月額変更届の手続きに影響を与えます。
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固定的賃金と非固定的賃金
給与は、固定的賃金と非固定的賃金の二つに大別されます。
固定的賃金が毎月一定額支払われるものであるのに対し、 非固定的賃金は勤務状況や実績によって支給額が変動するものです。
この固定的賃金と非固定的賃金の合計額が、給与の総支給額となります。
固定的賃金は人事データに基づいて計算されることが多い一方、非固定的賃金は勤怠や業績のデータをもとに計算されることが一般的です。
固定的賃金の種類
固定的賃金に該当するものとしては、いくつかの種類があります。
具体的には、月給、週給、日給といった基本的な賃金形態のほか、
役職手当、家族手当、住宅手当、勤務地手当
などが挙げられます。
これらの手当は、個人の勤務時間や営業成績に直接連動するものではなく、所定の条件に基づいて定額で支給されるため、固定的賃金に含まれます。
基礎単価や固定的な歩合率も固定的賃金とみなされることがあります。
非固定的賃金の種類
非固定的賃金は、毎月の支給額が一定しない賃金や手当を指します。
これらは、労働時間や勤務状況、あるいは個人の業績などによって金額が変動するという特徴があります。
具体的な非固定的賃金の種類としては、
・時間外労働に対して支払われる残業手当
・特定の成果や効率に応じて支払われる能率手当
・深夜や休日の勤務に対する宿日直手当
・定められた出勤日数を満たした場合に支給される皆勤手当や精勤手当
などがあります。
これらの手当は、その月の勤務実績によって支給額が変わるため、非固定的賃金として扱われます。
通勤手当と固定的賃金
通勤手当は、一般的に固定的賃金として扱われます。
これは、通勤にかかる費用に対して支給される手当であり、毎月の通勤経路や手段に変更がなければ、原則として定額で支給される性質を持つためです。
固定的賃金と非固定的賃金を区別する上で、通勤手当は固定的賃金に分類される典型的な例の一つと言えます。
ただし、出勤日数に応じて日割りで支給される場合など、毎月金額が変動するような支給方法の場合は、 その性質から固定的賃金ではなく非固定的賃金として扱われることもあります。
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固定的賃金が変更されたときの手続き
固定的賃金の変動は、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額に影響を与える可能性があります。
固定的賃金の変動があった場合、一定の条件を満たすときには、社会保険の随時改定の手続きが必要となります。
この手続きは、適切な保険料を反映させるための重要な手続きになります。
社会保険における月額変更届
社会保険における月額変更届は、被保険者の固定的賃金の変動に伴い、標準報酬月額が大きく変動した場合に行う手続きです。
通常、標準報酬月額は年に一度の定時決定で見直されますが、固定的賃金の変動により報酬月額が大幅に変わった際には、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定する必要があります。
この随時改定に必要な書類が月額変更届です。
固定的賃金と非固定的賃金の合計である実際の報酬額に基づき、社会保険料を適正な額に修正するために必要な届出になります。
月額変更届が必要となるケース
月額変更届が必要となるのは、固定的賃金の変動があり、その変動によって標準報酬月額が2等級以上変動した場合です。
具体的には、昇給や降給、役職手当や家族手当などの固定的手当の支給額変更、あるいは日給や時給の基礎単価の変更などがあった場合が該当します。
これらの固定的賃金の変動が発生した月以降、継続した3ヶ月間の報酬月額の平均を算出し、現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合に、月額変更届の提出が必要となります。
ただし、変動月から3ヶ月とも支払基礎日数が17日以上(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)であることも条件となります。
月額変更届が不要となるケース
固定的賃金の変動があった場合でも、月額変更届が不要となるケースも存在します。
まず、固定的賃金の変動があっても、その後の3ヶ月間の報酬月額の平均と現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じない場合は、随時改定の対象外となります。
また、固定的賃金は変動したが、残業手当などの非固定的賃金の変動により、結果として3ヶ月間の報酬月額の平均が従前より下がり、かつ2等級以上の差が生じない場合も月額変更届は不要です。
その他、休職中の休職給や傷病手当金など、報酬としての性質を持たない給付を受けている場合も、原則として随時改定の対象にはなりません。
月額変更届の提出方法と提出先
月額変更届は、事業主が作成し、管轄の年金事務所または健康保険組合に提出します。
提出方法としては、書面での提出のほか、CDによる提出や電子申請も可能です。
届出は、固定的賃金が変動した後の報酬支払月を起算月として、その後の3ヶ月間の報酬月額を基に作成し、速やかに提出する必要があります。
提出期限は定められていませんが、迅速な手続きが求められます。
提出された月額変更届に基づき、標準報酬月額が改定され、原則として変動月から4ヶ月目から新しい標準報酬月額が適用されることになります。
まとめ
固定的賃金は、社会保険料の計算において非常に重要な要素です。
基本給や通勤手当など、定額で支給される賃金は固定的賃金に該当し、残業手当のように変動する賃金は非固定的賃金となります。
固定的賃金に変動があった場合は、社会保険の随時改定の対象となる可能性があり、 要件を満たす場合には月額変更届の提出が必要です。
適切な手続きを行うことで、従業員の社会保険料が実際の給与に見合ったものとなり、正確な年金記録にも繋がります。
労務担当者は、固定的賃金の定義や変動があった場合の手続きについて正確に理解しておくことが求められます。適切な通勤手当の管理も、社会保険料の計算を正確に行っていくうえで重要な業務です。
通勤管理サービスを活用することも、正しい社会保険料を管理する上で有効な手段となります。
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